ちわきにくどり、きょうきらんぶするえいゆうたんのように.
ものがたりをはじめよう.
せつなくあまく、どこかこっけいなとぎばなしのように.
とあるじだいの、とあるせかい.
せかいにひとりのしょうねんがおりました.
せかいでいちばんくらいところで、だれからもあいされなかったしょうねんでした.
せかいぢゅうのぞうとぶべつとりふじんをむけられて、それでもえがをたやさないしょうねんでした.
しょうねんはずっとひとりでした.
おなじせかいにもうひとりのしょうねんがおりました.
せかいでいちばんそらにちかいところで、だれからもあいされたしょうねんでした.
せかいぢゅうのきぼうときたいとせんぼうをむけられて、けれどもじゅうあつにゆるがないしょうねんでした.
しょうねんはいつもひとりでした.
そしてさいごにもうひとり、ひとりのしょうじょがおりました.
だれからもあいされなかったわけでもなく.
だれからもあいされたわけでもなく.
あたえられたやくわりいがいは、ごくごくふつうのしょうじょでした.
そんなしょうじょには、たったひとつのねがいがありました.
そのねがいゆえに.
しょうじょは、こどくだったしょうねんたちにてをさしのべることをきめたのです.
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